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2006年09月10日   

ゴーグルエースサポートメンバー顛末、その2です。
昨日の日記の続き。9/6水曜日・高円寺にて。


…もうこれ以上練習しても仕方ないか、と思い
19時前にスタジオを出る。映画「アイデン&ティティ」の舞台に
なったという駅前のスタジオには、一日に計3回も通ったことに
なり、妙に親しみが湧いた。

小雨が降る中をライブハウス「Roots」に戻る。
客入れ前で、仕事を終わらせてやってきたエリちゃんが
ドラムのセッティングをしていた。すぐにステージに上がって
ベースをつないで、ほんの少しだけど合わせてみる。
…なかなかいい感じかも。

とかなんとかやっているうちにお店がオープン。
ぽつり、ぽつりとお客さんがやってくる。
楽器を楽屋に入れて、客席とかカウンター周りをウロウロ。
なんか落ち着かない…。そういえば3年ほど前、帰省を兼ねて
年末にゴーグルエースのローディをしたことがあったな。
京都のMETOROで年越しステージをやって、すぐに移動して
神戸スタークラブに移動、今度はトリに近い出順で年明けライブを
するという強行軍だった。満員のMETOROの舞台ソデでハトを持って
クライマックスを待ったりして…面白かったな、なんてことを
思い出す。しかし、自分が一緒にステージに上ると思うと
やっぱり妙な気分で、そわそわしてしまう。

お客さんの中に、ネオンにまつわる人々を発見。
なんだか話すのが照れくさい。その中に大学の友人で、もう
何年も会ってない久保田くんを発見。元TheEnd桜井の
同居人だった人だ。相変わらずのまったりした口調が
心地よくて、本番前ながら話し込む。
おかげでちょっと緊張がほぐれた。

20時過ぎにライブスタート。
まずはThe Adawei's。若者ギター弾き語り。
久保田くんと話しながら聴く。…いい声だ。ギターも巧い。
仙台から出てきて高円寺に住んで、この街に対するラブソング?
みたいな歌を…というMCで始まった曲がよかった。

次は最鋭輝さん。フルートとギターを従えての
3ピース編成の真ん中で、白いベルボトムスーツを着て
マドロス的に片足を上げたポーズで歌いまくる。
70年代歌謡曲のダサくて脂っこい部分をネタにして笑いを
とりつつ、実は結構いいメロディと真面目に愛を語るような
歌詞?が気持ちいい。お客さんも引き込まれている。
客をいじったりコールアンドレスポンスを仕掛けたりと
散々盛り上がりつつ終了。

いよいよ出番が近い! なんだか恥ずかしいので、他のメンバーは
スーツを着込んでいるけど、とりあえず普段着のままで慌ただしく
セッティングを行う。入念にチューニングをして、
長いケーブルにつないだベースを客席の奥にもっていく。
今日のゴーグルエースの演奏曲は十数曲で、自分は後半の
6曲(+1セッション)を担当することになっているのだが、
「Roots」の楽屋は客席の後ろにあるので、ライブ中に弾きながら
登場するにはこうするしかないのだ。
程なく本番スタート。まずは3ピースのゴーグルエースから。

ベース不在をただアコースティックセットで乗り切るのではなく、
今後の事も考えて臼井くんのギターを「バリトン・ギター」に
(通常のギターよりも1オクターブ低く、ベースよりも1オクターブ
高い音が出る特殊なギター。外観は普通のエレキギターと同じ。)
持ち替えての初ライブだ。3人でやってるのに、妙に音が太い。
「恋のドクター」なんか、4人版よりも激しいくらいで、テンションが
高くて音数が少ないのが気にならない。逆境を乗り切ってるなー…
なんて最鋭輝さんと一緒に感心する。いや、そんなことしてる場合
じゃない。もうすぐ出番なのだ。急いでグリーンの衣装に着替える。
ゴーグルエースが海外ツアーで使ってたもので、フロント3人揃いの
パーティスーツだ。おお、サイズもピッタリ。ネクタイを締めて…
あ、頭がボサボサじゃまずい。トイレに行ってジェルなんぞをつけて、
サングラスかけて、なんとかそれらしい格好に仕上がった。

あっという間に出番前の曲だ。
楽屋から出て、そっと客席の最後列にいく。すごい熱気。
後ろの方はみんな踊ってる…見つからないように猫背になって、
ローディさんからベースを受け取ってスタンバイ。
おぉ、曲が終わる!! 終わったら心の中で3つほど数えて、
4人でやる一曲目、エリちゃんのバラードナンバー「軽い目眩」の
イントロを弾き始めた。この曲はベースから始まるのだ。
ステージではカマチくんが「おやおや、今日はベースがいないゴーグル
エースなのに、どこからともなくベースラインが聞こえてきました…」
とかなんとか言ってる。集まる視線。弾きながら客席の脇をカニ歩き?
して前に進む。

うわ、サングラス(ゴーグルエースが初期にライブで使っていた
三角形に尖ったやつ)をかけてるとほとんど何も見えない!
弾きながら歩くのは至難の業だ。うう…つらい。
そんな事を思いつつステージへ。ブレイクの一瞬でぱっと
サングラスを取り去る。曲は一気に激しくなり…
リズムにまかせて身体を揺らしまくる。
2曲目は「洋梨はいかが」。歌謡GS的ロックナンバー。
なんかテンポが早い! 踊りまくりながら弾いていると
どんどん息が上がってくる。しんどいわ! 初代ベースの
カワムラ君って、アホみたいに踊りまくったり、コサックダンス
したりネオンの梁からぶら下がったりと、とにかく演奏中は笑顔で
動きまくってて(彼はホントにスゴイ。最高。あれ以上無駄に動き
まくるベーシストって見たことない!です。)それが頭に焼き
付いてるからか、演奏するとなるとじっとしてはいられない。
でも、呼吸困難になりそう。だんだん何を弾いているのかわから
なくなってきたぞ。ついていくのがやっとだ…。

興奮して、頭に血が上る。客席を見ると、たくさんの人が笑顔で
踊りまくっているじゃないか。しんどいけど…気持ちいい! 
せっかく嫌ってほど練習したのに細部にこだわった演奏をする
余裕なんて全くない。とにかくついていくのみ。
でも、エリちゃんもカマチくんも臼井くんも笑顔だ。
何度もアイコンタクトを取りながらキメをはずさないように、
感情だけに流されないように、でも感情を込めながら、とにかく
ベースラインを刻んでいく。

ハイライトはゴーグルエースとしても久しぶりだという
初期ナンバー「魚眼レンズでみればいい」だ。
マイナーチューンで内向的な歌詞が「ゴーグルス」と名乗って
いた極初期の音を引きずっている。散々ミキサーとしてPAした
曲だけに、個人的にとても思い入れがある曲。
ピックでゴリゴリと8ビートを刻む。しかしとりわけテンポが
速い! 汗だくで指板を押さえる指がヌルヌルと滑る。
たった4曲しかやってないのに、すでに体力的に限界を感じる…
が、頭とは裏腹に身体は自然に飛んだり跳ねたりしてしてしまう。
ああ、気持ちいい…。

その後は気を失いそうになりながら、さらに激しいカヴァー
ナンバーなどをこなす。ラストは最鋭輝さんやThe Adawei'sを迎えて
まったりとセッション。燃え尽きる寸前で、ちょっとしょんぼりした
演奏になってしまったかも。でも最鋭輝さんやカマチくんが
しっかり盛り上げてたからまあ、いいか。

…こうしてこの日のライブは終わった。
しばらく放心してから、来てもらったお客さんと話した。
荒い演奏だったから、叱られないか??とビビっていたけど
みんな笑顔で迎えてくれたので、まあ取り敢えずヨシ、
って事なのだろうか。終わってもしばらく、手足は痺れた
ような感覚のままだ。弦をはじく指先が、内出血して
黒くなっていることに気付く。でも、痛くはない。

エリちゃんがしきりに「楽しかった。ライブっていいな」
なんて呟いていて(何百本もライブを体験してきたはずだし
今さらながらな台詞なんだけど、今きっとそういう状態というか
時期なのかもしれない。)ああ、一緒に演奏しに来てよかったな
と思った。

ライブハウスを出てから、タイ料理屋で軽く打ち上げ。
午前3時頃、昨日と同じくサザナミレーベル事務所の床に
寝袋を敷いて、深い眠りに落ちた。

Author simizu : 2006年09月10日 21:44